阪神貧打で痛恨3連敗もまだ貯金17とタンマリ 2.5差接近の巨人には“ガス欠”の危険性

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 これまで快走してきた阪神に急ブレーキがかかった。

 27日も5位DeNAに敗れ、痛恨の同一カード3連敗。一方の2位巨人は3位ヤクルトを3タテして今季初の7連勝とし、その差は2.5ゲームとなった。阪神の矢野燿大監督(52)は「良くない時もある。反省してどう前に進んでいくか」と仏頂面だった。

 直接対決で巨人に勝って今季最大の8ゲーム差をつけた18日からわずか9日。矢野監督は連敗を喫した26日の試合後、最近7試合中6試合で2得点以下と得点力不足の打線について「何も変えようと思っていない」と打順変更をキッパリ否定した。それが、フタを開けてみれば、あっさり前言を撤回。この日は前日まで7番だった糸原と2番を務めていた中野の打順を入れ替えて臨んだ。それでも、4番・大山が4度の得点圏すべてで凡退するなど打線は機能しなかった。

 こうなるとスポーツマスコミは手のひらを返し、矢野監督の采配を批判するようになってくる。2019年まで巨人でバッテリーコーチなどを務めた秦真司氏は「まだ折り返し時点。阪神はバタバタする必要はありません」とした上でこう続けた。

■目先の1勝より8、9月のプラン

「確かに追われるプレッシャーはあるでしょうが、今はゲーム差は気にせず、仮に巨人に抜かれても離されなければいい、くらいの気持ちでいいのではないか。目先の1勝より勝負どころの8、9月をどう戦うかというプランが大事。打順を変えるのはいいと思います。むしろ調子が悪いレギュラー陣に固執する方が良くない。巨人のコーチだった頃、大黒柱の阿部をいかに休ませながら秋に備えさせるかを考えていました。今のうちに主力をリフレッシュさせたり、生きのいい若手を抜擢するくらいがいい。その点、巨人の方が松原や北村といった若手の活躍が目立っています」

酷似する2年前の巨人とDeNA

 そういえば、巨人に原辰徳監督(62)が復帰した19年には逆のことがあった。

 首位巨人は7月16日に2位DeNAに10.5ゲーム差をつけていたが、わずか半月の間に一気に10ゲームも縮められ、0.5差に詰め寄られた。だが、DeNAは捕手の伊藤光がファウルチップを受けて左手薬指を剥離骨折すると、宮崎もスイングの際に左有鉤骨骨折。直後にはリリーフに失敗した自らの投球に激高したパットンがベンチの冷蔵庫を殴打して右手小指を骨折するなど主力が次々と離脱した。すると、チームも8月に5連敗を喫するなど失速。結局、巨人は抜かれることなく、再び差を広げることに成功し、5年ぶりのリーグ優勝を手にしている。さる球界関係者は「DeNAが直接対決で0.5差に迫ったカードでラミレス監督はエース今永のローテの順番を変更して巨人戦にぶつけるなど、チームにムチを入れた。そんな無理がたたったこともあり、ラミレス監督は後に『ガス欠だった』と振り返っています」と言うのだ。

 今年は東京五輪期間中の7月19日から8月12日までの25日間、ペナントレースが中断となる。2年前とは事情が違うものの、巨人にこの時のDeNAと似た現象が起き始めているから穏やかではない。

■故障者続出で追う方にも反動が…

 巨人はこの日、リーグトップの8勝を挙げている戸郷を「コンディション調整」のため抹消した。原監督は「(先発を)1回飛ばすみたい」と軽症を強調したが、エース格に何らかの異変が起きたのは確かである。

 その原監督が「10日で戻って来られるならありがたい」と願っていた絶対的セットアッパーの中川も左肋骨の骨折が判明。菅野は一軍の練習に合流しているが、まだ戦線には復帰していない。

 前出の秦氏がこう言う。

「追う方も実は苦しい。その間に必ず選手に負担がかかっているため、後に故障者が出ることが多いのです。それに、今の広島を見ても、リーグ3連覇(16~18年)の後に中崎ら主力が軒並み勤続疲労や故障で低迷しているでしょう。現在連覇中の巨人にしても、エース菅野の右肘痛もそうでしょうし、中川もしかり。エース格になった戸郷も抹消されてしまった。主力に故障者が続出すれば、この先チームは息切れを起こす可能性が高まります。勝負の秋に手詰まりの状態になるのが一番怖い。阪神の方が故障者が少ないし、2.5ゲーム差といってもまだ貯金を17も積み上げていますから」

 巨人は丸、坂本、梶谷が復帰し、得点力はアップした。この7連勝は全て先発投手が勝ち星を挙げているが、救援陣を含め、投手陣に不安は残る。菅野の右肘の痛みは再発の可能性もある。今季の巨人も「ガス欠」の危険性をはらんでいるなら、この先の命運は矢野監督が腹を決められるか、にかかっているといえそうだ。 

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