「俺もいいトシのおじさんですから」燃える恋愛より穏やかな関係を求める52歳男性の達観【冷酷と激情のあいだ】

公開日: 更新日:
コクハク

52歳、好みじゃないけど

 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

 本気のパートナーを探す瞳さん(47歳・仮名)は、恋愛対象外なタイプであるものの、見栄を張って、カツノリさん(52歳・仮名)との交際を妥協しながら検討しています。そんな、瞳さんの“事情”を一切知らないまま、アプローチを続けているカツノリさんは、今の状況をどう受け止めているのでしょうか。

「昔の同僚からの紹介で瞳さんと知り合いました。まぁ正直、そこまでタイプではなかったんですけど、俺ももういいトシだし、この見た目でしょ? 会社の若い子にもしょっちゅう「おじさんっぽい」っていじられてます。

 だから高望みはできませんよ。ありがたく紹介話を受け入れて、会ってみました」

 穏やかに微笑むカツノリさんは、52歳。たまたま昔の同僚との飲みの席で『カツノリさんに合いそうな人がいる』と提案され、軽い気持ちでOKしたそうです。

【読まれています】「男性にモテるために、わざとプチプラ服を選んでいます」床上手を自負する47歳女性の再婚計画

なぜか心惹かれる女性

「特別に心に響く出会いではなかったですね〜。だけど、瞳さんはなぜか不思議と惹かれる女性だったんですよね。

 理由はわからないけど、また会いたいなって思わせる魅力がある人なんです」

 まだ恋愛関係に発展するかまではまったく考えていないものの、引き続き何度かはデートを重ねてみたいと話すカツノリさん。

 最近では、瞳さんからのレスポンスやノリに良い兆しが見られるそうで「いわゆる“脈あり”ってやつなんだと思いますね」と、照れながらも自信を滲ませます。

“趣味友”の延長のような

「彼女もそれなりに好意を抱いてくれているみたいで、それは素直に嬉しいですね。俺は、まだ好きってところまでは感情が到達していませんが…。

 こんなおじさんですから、恋に浮かれたり、相手にどハマりするのは、ないでしょうねえ…。もともとそんなキャラじゃないですし。

 お互い燃え上がって、情熱的に求め合う恋愛関係よりは、もっと静かで穏やかな…。そうですね、趣味友の延長のような間柄がいいんですよ。

 仕事を引退して時間ができた時に、一緒に出かけるパートナーが欲しいんですよね。それが信頼できる女性だったら、最高に幸せじゃないですか。

 そう考えると瞳さんは、リタイア後の趣味仲間としてはちょっと年齢が開きすぎているかな」

 カツノリさんは、まずお互いの相性を見極めるところから始めたいと話します。

相性が悪いのかも

「まあね、婚活しているわけでもないですし、そんなに焦らなくてもいいでしょう。

 瞳さんとはまだ数回しか会っていないから、共通の趣味があるのかどうかもわかりませんし。付き合うにしてもまだまだ時間が必要です。

 けっこう頻繁にデートには誘っているんですけど、ノリのいい返事が届くわりには、なかなか日程が決まらなくて。

 まあもしかしたら、そういう意味ではすでに相性が悪いのかもしれないですね〜」

  ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。

 まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。


(並木まき/ライター・エディター)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  4. 4

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  5. 5

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  1. 6

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  2. 7

    大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て

  3. 8

    容姿優先、女子アナ上納、セクハラ蔓延…フジテレビはメディアではなく、まるでキャバクラ状態だった

  4. 9

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  5. 10

    エンゼルス菊池雄星を悩ませる「大谷の呪い」…地元も母校も同じで現地ファンの期待のしかかる