森保監督にくすぶる途中退任説…W杯最終予選で中国に「勝ち点3」も拭えぬ采配への不信感

公開日: 更新日:

 何とか勝ち点3を獲得した。

 男子サッカー日本代表は日本時間8日、カタールのドーハでW杯アジア最終予選第2戦を中国代表と戦い、1―0で初勝利を挙げた。

 森保一監督(53)は黒星発進となった2日のホームでのオマーンとの初戦から先発4人を変更。MF久保建英(20=マジョルカ)、FW古橋亨梧(26=セルティック)、DF室屋成(27=ハノーバー)、DF冨安健洋(22=アーセナル)を起用して臨んだ。

 5バックで守備を固めてきた中国のゴールをこじ開けられない中、前半40分にMF伊東純也(28=ゲンク)が右サイドを突破してクロスを供給。走り込んだFW大迫勇也(31=神戸)が右足で合わせ、先制ゴールを叩き込んだ。「試合前から純也と話していた通りの速いボールが来た」とは試合後の大迫だ。

■「勝ったとはいえ、不完全燃焼」

 森保監督は「みんな走って戦って、勝利をつかみ取ってくれた」と喜んだが、主将のDF吉田麻也(33=サンプドリア)は「勝ち点3は取ったけど物足りない。1―0でギリギリ。追加点を重ねないといけなかった。もっとチーム全体を上げていかないといけない」と厳しい表情のままだった。

 元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう言った。

「伊東が1対1で勝負をしたおかげで決定的なチャンスが生まれました。やはり仕掛けないといけない。先発の久保も決定的なシュートを放ったし、柴崎岳(29=レガネス)に指示を出すなどオマーン戦より積極的な姿勢も見えました。あとは久保のA代表初ゴールが見たいところです」

 ただ、圧倒的に押し込みながら1点しか奪えなかったことには、「本来の室屋は突破力があって足も速いのに、縦への突破はほとんど見られず、セーフティーなパスに終始していました。もっと勝負をしてほしかった。勝ったとはいえ、チームとしては不完全燃焼の試合でした」と前出の六川氏は苦言を呈する。

■釜本邦茂氏「3、4点は取らないと」

 さらにメキシコ五輪得点王の釜本邦茂氏は「特に前半、自陣に引きこもって守備一辺倒の中国選手のプレーをまどろっこしく感じたものだが……」と前置きして、こう続ける。

「腰の引けた相手にバックパスや横パスも目立ったし、ペナルティーエリアに侵入しても味方にパスしてみたり、なぜ積極果敢にシュートを打っていかないのか、理解に苦しむシーンが少なくなかった。ボール支配率70%の日本は計18本のシュートを打ったが、ゴールの枠内に飛んだのは3本だけ。この日の中国が相手なら、もっとシュートを打って半分は枠内に飛ばして3、4点は取らないといけない。日本の戦いぶりも、やはりまどろっこしく感じてしまった」

 W杯最終予選の成績を1勝1敗のイーブンに戻し、勝ち点3をゲットしたとはいえ、森保監督に対する「このまま指揮官を任せて大丈夫か?」という不信感は払拭できないままである。

 Jリーグで3度の優勝を誇り、キャラクターは謹厳実直そのもの。人となりを「悪く言う人間はひとりもいない」(放送関係者)が、試合を重ねるごとにサッカー指導者としての能力の「底が見えてしまった」とあるマスコミ関係者が続ける。

「代表選考も先発選びも<代表での実績>が最優先で、周囲から<年功序列型監督>と揶揄されている。選手交代のタイミングが遅く、交代枠をフルに使いこなせないことも多い。0―1で負けた2日のオマーン戦も交代枠が5人なのに3人しか投入せず、しかも陣形はそのままで『左MF原口→古橋、右MF伊東→堂安、トップ下の鎌田→久保』とポジションごとの選手をシンプルに入れ替えただけ。陣形変更と選手交代で試合の流れを変えたり、そういった芸当が苦手なタイプなのです」

めぼしい後任候補は不在

 日本代表は10月7日にアウェーのサウジアラビア戦をこなし、同12日にはホームのオーストラリア戦が控えている。

 早めに森保監督に見切りを付け、体制を刷新して仕切り直すのがベターと思われるが、日本サッカー協会(JFA)としては「東京五輪監督兼任の労に報いるために森保監督が辞めると言うまで更迭しない」(サッカー関係者)ともっぱら。さらに言うと「めぼしい後任がいない」と前出のマスコミ関係者が言う。

「W杯監督経験2度の岡田武史氏(65)は3年前に指導者S級ライセンスを返上済み。前回ロシアW杯でベスト16入りを果たした西野朗氏(66)は2019年7月にタイ代表監督に就いたが、W杯2次予選敗退となって7月に任期途中で解任。指導者として引退状態にある。ポスト森保一番手といわれているのが、現JFA技術委員会・委員長の反町康治氏(57)です。Jの新潟、湘南、松本山雅を指揮して、08年北京五輪代表監督としてDF吉田、内田、長友、MF本田、香川、FW岡崎ら日本代表の屋台骨を支える選手を抜擢してサッカー界での評価も高いものの、A代表を率いた経験がなく、大きなプレッシャーのかかるW杯最終予選突破という重大使命を果たせるだけのポテンシャルがあるのか、未知数というしかない」

 反町ジャパンに衣替えしたとしても、不安は尽きないというのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド