巨人阿部コーチに課せられた新・正捕手育成の重要課題…「ポスト原」争いの行方も左右
今季も正捕手争いが勃発する。
昨季の巨人は大城が開幕スタメンマスクをかぶり、チーム最多の95試合に先発。小林は27試合の先発で岸田は3試合だった。今季もこの3人が中心になりそうだが、さるチーム関係者がこう言うのだ。
「原監督は大城を捕手としてというより、打者として評価している。昨季の起用法から見ても、小林に対する期待はいよいよ低くなっている。にもかかわらず、昨季シーズン中に炭谷をトレードで放出。秋のドラフトでも支配下で捕手を指名していない。原監督の“現有戦力でなんとかなる。なんとかせえ”というメッセージですよ」
■ディフェンスチーフだけに…
そこに阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(42)の役割がある。自身の後継者となる「次世代の正捕手発掘と育成」の重責だ。
現役を引退し、二軍監督となった2020年から、高卒新人だった山瀬慎之助捕手(20)を強化指定選手として重点的に指導してきた。その高卒3年目は、鉄砲肩で打撃に難点があるなど、タイプが似ているソフトバンク・甲斐に2年連続で弟子入り。1日7時間の自主トレを行っている。侍ジャパンの正捕手でもある甲斐は「山瀬の肩は衝撃的。今まで見てきた中で一番衝撃を受けたぐらい。ダントツで一番の強肩。いい捕手だし、楽しみ」と絶賛している。
次期監督争いを左右する
さらなる伏兵は、今季から背番号「27」に変更となった岸田行倫(25)だ。
「これはV9時代の正捕手だった森さんがつけていた番号で、昨年までは炭谷が背負っていた。他球団ではヤクルト・古田、中日・谷繁など球界を代表する捕手の番号となっている。昨年まで第3捕手扱いだった岸田への首脳陣の評価は高く、今季は正捕手争いに絡んでくる可能性は十分ある。そもそも原監督の3年契約が切れる今季から阿部監督が誕生するはずだった。それなのに原政権が3年も延長になり、阿部が一軍コーチ止まりだったのは、球団が阿部二軍監督の育成などの仕事ぶりをよしとしなかったからでもある。今度こそ“結果”が求められています」(前出の関係者)
岸田か山瀬か──。大城でも小林でもない若手捕手を一軍に定着させ、いずれは正捕手にすることが、桑田真澄投手チーフコーチ(53)、元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(50)、高橋由伸前監督(46)らとの「ポスト原」争いで、重要な材料になりそうである。