高校野球の監督は「甲子園出場で御殿が建つ」って本当? どれだけ稼ぐ?
■名将・木内監督が本紙に語った噂の真相
高校球界の名将、茨城の常総学院を率いた木内幸男氏の話を思い出す。県立の取手二高を率いて1984年に全国制覇。その手腕を買われ、直後に開校したばかりの常総学院監督に就任した。生前、当時のことを本紙記者に「取手二高から移ったときも、『御殿を建てた』なんて、ずいぶんと陰口をたたかれたもんだよ」とあけすけにこう語っていた。
「実際は、最初に常総から話があった時は、月30万円。でも、当時の理事から『野球の監督にそんなにやる必要はない』と反対され、25万円からのスタートだよ。べらぼうな契約金や支度金なんて一切なかった。取手二高の時は職員でもなかったし、学校や父兄の好意で月に10万円だけだった。教え子をプロに入れて、『金をもらってる』とウワサされたけど、一度として野球で金儲けなんかしたことないよ。まあ、ひがみやっかみ、有名税だと思って気にもしなかったけどな、ハハハ」
プロ野球のベテランスカウトによれば、「中にはカネに汚いというか、堂々と袖の下を要求してくるアマチュアの監督が過去にはいましたよ。ドラフト1位クラスの選手がいるとスカウトを呼びつけ、ベンツのパンフレットを開いて、『これで』と指さすやからもいた」という。逆指名廃止のきっかけになった裏金騒動以降、そんなワルがはびこる余地は少なくなった。
高校教師の平均年収は400万円から650万円。今は、体力が有り余るやんちゃな野球部員を相手に、手を上げるのはもちろん、怒鳴っただけで問題になる時代だ。昔も今も、「好きじゃなきゃやってられない仕事」に変わりはない。