熱海富士朔太郎は無名から化けた期待の新鋭 感情さえコントロールできれば出世間違いなし
20歳・伊勢ケ浜部屋・前頭15枚目
高校時代は無名だったと言われても、信じる者は少ないだろう。
2020年11月場所で初土俵を踏み、今場所新入幕。年6場所制以降、前相撲から12場所での入幕は、元大関小錦、元横綱朝青龍と並ぶ史上8位タイのスピード出世だ。
母校の飛龍高校は全国屈指の相撲強豪校だが、熱海富士は個人タイトルや上位入賞とは無縁。むしろ、飛龍高校の1年先輩で、伊勢ケ浜部屋でも兄弟子となった颯富士(幕下)の方が、高校横綱に輝くなど期待が高かった。
「入門前から体が大きく、猛稽古も苦にせず、しかも食べるのが大好き。その意味ではプロでこそ輝くタイプだったのかもしれない。高校時代はもう少し、ぽっちゃりしていたので、あるいは伊勢ケ浜部屋の稽古で素質を生かせるようになったのか。熱海富士は1日60~80番相撲を取っているそうだが、あの部屋の若手力士は皆、それくらいやっていますからね」(若手親方)
右四つ左上手の型はあれど、型にこだわらず、ガムシャラに前に攻めるのが持ち味。
もっとも、素質だけで相撲を取っているフシもあり、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)にも「まだ全然。自分の型が出来上がってない」と言われている。