大谷翔平が願う“ヒリヒリする9月”は二の次? エンゼルスが「買い手」に回った本当の狙い
「この夏の積極的な補強は大谷の歓心を買うため」
2014年を最後にポストシーズン(PS)から遠ざかっているエ軍はこれまでトレード市場では「売り手」に回るケースが多かった。大谷が加入した18年以降も、多くの主力選手が夏場にチームを去った。今回のエ軍の決断には地元メディアからも批判の声が上がっているものの、モレノ・オーナーの狙いは大谷との契約延長に他ならない。
大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。
「今年2月にモレノ・オーナーが大谷との長期契約を結ぶ意向を明かしたように、今夏の積極的な補強は大谷の歓心を買うためでしょう。7月は勝率5割前後を行き来し、補強次第ではPS進出は決して不可能ではなかった。勝つことはもちろん、モレノ氏は補強に着手することで、エンゼルスは本気でPS進出を目指すという姿勢を示したかったのですよ。ぜいたく税の支払いを覚悟してでも戦力の上積みを図るとね。今オフ、FAになる大谷と再契約するには総額700億円から800億円規模の契約になるだけに、球団の資金力をアピールする狙いもあるのだと思う。今オフの大谷との交渉を有利に運ぶために先手を打ったとみています」
もっとも、トレードデッドラインでの駆け込み補強は失敗に終わるケースも少なくない。実績のある選手がPS進出の請負人と期待されて移籍しながら、新天地ではパフォーマンスを発揮しきれず、結果的にチームの足を引っ張るのは珍しいことではないからだ。
今夏のトレードでエ軍は、ただでさえ枯渇するマイナー組織から計4人のプロスペクト(有望株)を放出。新たに加入した4人は今季限りでFAになるだけに、今オフの補強次第では大谷が残留しても来季は厳しい状況に変わりはない。
「今回、複数のプロスペクトを放出したといっても、しょせんはエ軍組織内での有望株に過ぎません。今季開幕前に発表されたMLBプロスペクトランキングで100位以内に入ったエ軍の若手は捕手オホッピー(53位)、内野手ネト(89位)の2人だけだった。そのことからも分かるように今夏、交換要員になった選手の評価は全体から見れば、それほど高くはない。今季のネトのように来年、即メジャーデビューするような若手は少ないかもしれませんが、マイナーの選手であれば、オフのトレードなどで十分に確保できます。エ軍は育成力に問題があるとはいえ、マイナー組織の再建に関しては悲観するほどではないと思いますが……」(友成那智氏)
オーナーがカネを惜しまずに補強したからといって勝てる保証はどこにもないし、本気で勝つチームを目指すとアピールしたところで、大谷の心に響くとは限らない。
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その大谷は日本時間2日のブレーブス戦に「2番・DH」でスタメン出場。4打数1安打だった。
メジャー最多199奪三振の先発右腕ストライダーに対し、第1打席は空振り三振。今季200奪三振目を献上した。三回の第2打席も変化球で空振り三振に倒れたが六回、遊撃への内野安打を放って6試合連続安打とした。
チームはナ・リーグ東地区首位のブ軍相手に1-5で敗れ、3連勝はならなかった。