元日本代表SH堀越正己氏がラグビーW杯をズバリ予想 「日本は3勝1敗でD組2位突破」する根拠
NZ戦145失点でスタンドで歯ぎしり
──第2回大会の日本代表監督は、県立熊谷高出身で早大の先輩でもある故・宿沢広朗氏だった。
「同じスクラムハーフだったこともあって、僕は『宿沢2世』と呼ばれていました。準備を大切にして相手チームの情報を分析し、綿密に戦略を立てる監督でした。常に励ましてくれて、選手にはいつも『勝てる』と思わせてくれた監督でした」
──第3回大会は小薮修監督が率いた南アフリカ大会。
「アパルトヘイト政策が終わったばかりの頃。ブルームフォンテーンで合宿を張っていましたが、治安が不安定で外出は禁止。どうしても外に行く時は、拳銃を持った警察官が護衛のためについてきました」
──印象に残っているのは、17-145で敗れた1次リーグ第3戦のニュージーランド戦?
「そうですね。あの試合は先発じゃなかった。あの頃は選手交代が認められていなかったので、試合には出場していないんです」
──スタンドでどんな思いで見ていたか?
「僕だったらあの位置にいけるんじゃないかとか、なぜ止められないのかと思ったり……。最初は吉田(明)と元木(由記雄)の両センター陣がドリフト(相手を内から外に追いやっていくディフェンス)でいくんですよ。でも、2人が全く相手に届かなくて、パス1本で抜かれてしまう。試合の後に元木か吉田に聞いたところによると、ぶつかったら腰回りに手が届かなかったそうです。今まで戦った相手とは違う感覚で、コンタクト力とか、パスのスピードとか、太ももの太さとか、全ての次元が違って、はじかれていたんです。でも、あの試合から日本の本気の強化が始まったんです」
──今大会の優勝予想は?
「優勝は地元フランス(同3位)。準優勝は南アフリカかニュージーランド。ダークホースはフィジーとみています」
──1999年に地元・熊谷で立正大の監督に就任して25年。昨年は関東大学リーグ戦3度目の1部復帰を果たし、5位に食い込んだ。
「今年は若いチームで、夏合宿から競争してきました。前に出るアタック、前に出るディフェンスが立正大のラグビー。1部に残ることが第一ですが、昨年は5位だったので、なんとか上位陣に勝ってリーグ戦で3位に入れれば、大学選手権に出場できます。国内からラグビーを盛り上げたいですね」
(聞き手=増田和史/日刊ゲンダイ)
▽堀越正己(ほりこし・まさみ) 1968年11月27日生まれ、埼玉県熊谷市出身の54歳。現役時代はSH。熊谷工では全国高校大会で2年時に4強、3年時に準優勝。早大では1年で日本選手権優勝、3年で大学選手権優勝。神戸製鋼では日本選手権7連覇のうちV4以降に貢献。日本代表は通算26キャップ。99年から立正大ラグビー部監督。テレビのコメンテーターとしても活躍。愛称は「モグ」。