昨年まで6年連続負け越しだったレンジャーズが世界一になったカラクリ
やや乱暴な言い方をしてしまえば、球団のフロントスタッフである。もちろん実際にフィールドでプレーし、結果を残すのは選手だ。ただ大枚をはたいて実力、実績とも申し分ないスターを何人集めようと、彼らがフィールドで結果を残さなければチームは勝てない。それはニューヨークをホームとする2つのチームを見れば言うまでもない。
何よりもまずチームのキャラクターを確立、どのようなチームに作り上げるのかという方向性を決定、そこに見合った選手たちを獲得する。そうやって獲得した選手を育成し、チームのコア(中核)とする。
レンジャーズのクリス・ヤングGM(写真)は2020年12月の就任以来、周りを驚かせるようなスター選手との大型契約や補強を連発、チームの指揮官に引退していたブルース・ボウチー氏を担ぎ出した。ヤングGMの手腕に「我々は今勝つべきチームだ!」という強い信念と自信が備わり、結果としてワールドチャンピオンという大きな報酬を得た。
今シーズンからヤングGMを支えたデイトン・ムーア特別顧問の存在も大きかった。昨シーズンまでロイヤルズのGM兼編成責任者を務め、14年、15年とロイヤルズが2年連続でワールドシリーズに進出(15年はワールドチャンピオン)した際、チームを立て直した功績が認められている。ヤングGMは当時、ロイヤルズの先発投手としてワールドチャンピオンに貢献している。
強いチームは実は、こうした人間くさい、ゆえに一枚岩となることができる生産性の高い人間関係がつくり上げるのかもしれない。=つづく
(米紙コラムニスト=ビリー・デービス)