98年6月の9連敗は逆転負け5度…抑え転向の黒木が2戦連続でやられナインが疑心暗鬼に
「武藤さんが六回まで無安打投球だったし、七回まで好投していたので、正直なところ、まさか自分が八回からいくとは思っていませんでした」
すると、21日の日本ハム戦も10-9の九回裏に黒木が田中幸雄に逆転サヨナラ2ランを浴び、2戦連続で抑えに失敗。10点取っても勝てないのか──。10-11の敗戦はショックだった。7連敗で、この連敗はちょっとやばいんじゃないかという雰囲気になり始めた。
ただ、この日の10得点が示すように打線は活発だった。この試合にスタメン出場した平井光親、福浦和也、フリオ・フランコ、私の4人は、この時点で3割以上をマークしていた。だから、野手陣にはそれほど危機感がなかったのだ。
富山への移動日となった翌22日、小宮山悟さんとフランコ主催の食事会が焼き肉店で行われた。この時はゴールデンウイークだと思おう! 毎年GW9連戦は3勝6敗か2勝7敗が常だった。7連敗なんて慣れっこさ──。食べて飲んで楽しい会だった。連敗が多かったこの時代のロッテは、敗因を分析するより、切り替えることの方が大事だった。マスコミは「ロッテ連敗脱出へ決起集会」と報じたが、富山でやることは前から決まっていた。
決起集会でチームの結束を固めたものの、富山での西武2連戦も連敗。これで9連敗となった。先制点を挙げながら、逆転されたのは5試合。接戦を落とすことも多く、「またひっくり返されるんじゃないか」とナインは疑心暗鬼になっていた。ベンチ全体に得体のしれない空気が充満していた。