著者のコラム一覧
Ricardo Setyonジャーナリスト

リカルド・セティオン 1963年生まれ。サンパウロ出身。中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材。スポーツジャーナリストに転身し、8カ国語を操りながらブラジルメディア以外にも英「ワールドサッカー」、伊「グエリン・スポルティーボ」など幅広く執筆。BBCのラジオ番組にも出演。98年、02年のW杯期間中にブラジル代表付き広報を務めた。現在もジーコ、ロナウド、ロナウジーニョ、カフー、ドゥンガら大物との親交も厚い。13年コンフェデレーションズカップではFIFA審判団の広報。国内では「ワールドサッカーダイジェスト」「スポルティーバ」などでコラムを執筆中。ブラジルのマッケンジー大、パナマのパナマ大、イスラエルのハイファ大などでスポーツマネージメントの講義を行う。自他ともに認める「サッカークレージー」。

“五輪出禁”ロシアによる「サイバーテロ」はもう始まっている…大会中は暴動勃発の危険性

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■BBC、NYタイムス、Netflixのフェイクニュース

「ストーム1679」は2023年6月ごろから五輪に焦点を当てた活動を始めているみたいで、昨年の夏には「オリンピックは堕落した(Olympics Has Fallen)」なんてフェイクドキュメンタリーまで作っちゃったよ。ナレーションはなんとトム・クルーズ。AIで作られた本物と見分けがつかないフェイク・クルーズがIOC幹部の腐敗っぷりを糾弾するってストーリーだ。BBCとNYタイムズが後援し、ネットフリックスが制作したってことになってて、冒頭にはご丁寧に「ダダーン」という効果音と共に赤いNの字まで出てくる。

 一方「ドッペルゲンガー」はパリ市民がテロを怖がって保険に入りまくっているとか大会チケットの4分の1が返却されたなんていうフェイクニュースを日々流し続けている。それも本物のフランスの日刊紙や雑誌のサイトを装っているから始末が悪いよね。大会中こうしたフェイクニュースにあおられて暴動が勃発する可能性だってある。

 ところで、もう一つネット上で監視すべき大事なことがある。それは大会中の選手たちへの誹謗中傷だ。パリ五輪ではアスリートを守るため、メッセージやコメントにAIがフィルターをかける予定だ。心ない言葉で選手がコンディションを崩してしまうこともあるよね。これは国際サイバーテロと同じくらい許されないことなんじゃないかって思うんだ。(つづく)

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