大リーグ機構の国際戦略に選手会は複雑胸中…球団経営者の「選手年俸カット」の思惑見え隠れ
マンフレッドが今後も日本での開幕戦シリーズの継続的な実施に前向きな姿勢を示すのも、世界第2位の市場である日本の重要さと将来性の高さを強く認識している表れにほかならない。
それとともに、2015年1月の就任当初から、折に触れて試合数の削減の可能性に言及してきたのがマンフレッドである。
23年には海外公式戦の実施に伴う日程の見直しを理由に、レギュラーシーズンを現行の162試合制から1960年までの154試合制に戻すという私案を提起したことを考えれば、26年12月1日で失効する現在の労使協定の改定の際に海外での公式戦の開催が重要な争点の一つになるだろう。
なぜなら球団経営者たちが年俸は試合数に応じて設定されるべきだと主張しやすい根拠が試合数の削減だからだ。
選手会からすれば、球団は財務状況を正確に開示していない。そして、不十分な情報しか明らかになっていない以上、年俸と試合数を連動させることに合理的な根拠はなく、将来的な年俸総額制の導入の布石と映る。
大リーグ機構による国際戦略は、球団経営者の年俸水準の切り下げという思惑を野球の世界的な普及という誰もが反対しにくい名目で覆い隠すという一面がある。それだけに選手たちにとっては無条件で賛同することが難しい問題でもある。