「なぜ、そのウイスキーが闇を招いたのか」三沢陽一著
「なぜ、そのウイスキーが闇を招いたのか」三沢陽一著
仙台にあるバー「シェリー」で、常連客の吉永はバーテンダーの安藤に「アードナマッハン」を注文する。2020年秋に流通が始まったウイスキーで、吉永も飲むのは初めてだ。実は友人の二宮の親戚で、3人でよく一緒に飲食を共にしたノリさんの最後の写真にアードナマッハンが写り込んでいたのだ。資産家だったノリさんは、その酒がリリースされた年の暮れから音信不通が続いていた。
そして先日、3月23日の撮影日が記されたその写真が二宮に届いたのだ。二宮も吉永も不治の病を患っていたノリさんがもうこの世にはいないと察したが、吉永は写真に違和感を抱いていた。(「何故、アードナマッハンがそこにあったのか?」)
バーを舞台に、ウイスキーを小道具に繰り広げられる連作ミステリー。 (光文社 792円)