常勝PL学園を築いた中村監督の野球理論は衝撃的だった…グラブのはめ方まで徹底して甲子園勝率.853
バッティングについても「バットの握り方が大事」と指導された。
「箸で納豆を混ぜる時は指を使う。文字を書く時も鉛筆は手のひらじゃなくて指で持つ。バットも指で持て。バットを指で握れば、手首の力がうまく使えて、力強く振ることができる」
正しい体の使い方を身につけられれば、結果として勝負に勝つ、甲子園で勝つことにもつながるという教えだった。
PL学園の野球部は全寮制。部員が1学年20人で最大60人と多くなかったため、レギュラー組と控え組に分けることなく、全員が同じメニューを行った。これで互いの力量が分かり、チーム内の競争意識も高めるという狙いがあった。部員の多い強豪校では珍しかった。
根性論がまかり通っていた30年前では異例ともいえる「効率的な練習」を掲げ、平日の全体練習は午後6時すぎ、わずか3時間で終了。あとは自主練習の時間に充てられた。全体練習で見つけた課題を各自が自主練習で補う。コーチ陣は一切介入しない。一番必要なのは「自己分析能力」。自分の得意なことを伸ばすのか、苦手なことを消すのか。そのための練習は何を行うのか。自分で考えて行動すること。これこそがPLが強豪であり続けた要因だと思っている。
次回はPL打線はなぜ強力だったのか。