柔道・角田夏実が一石を投じる価値ある2勝…最軽量級から無差別級出場、「本来の柔道」へ異例の挑戦
「いろいろな考え方があると思うけれど、古い柔道家からすると、技比べではなく力比べになっていると感じます」
「我々の時代は体が小さくても、大きな相手と稽古や試合をしてきた。今の柔道は、階級ごとのカテゴリーの中だけで勝った、負けたとやっている。それでは先々、伸び悩むこともあるだろうし、柔道自体が廃れかねない」
自身は中量級ながら無差別の全日本選手権で2度優勝。21年東京五輪で男子73キロ級の大野将平が連覇を達成した際には、「(170センチ、73キロの)大野君は私と体格が似ているし、今回の五輪を糧にして、『本来の柔道』というべき無差別級にぜひチャレンジしてもらいたいですね。柔道界全体のためにもなるはずです」と、エールを送っていた。
実際、大野は翌22年の全日本選手権に出場したが、初戦で敗れて「柔よく剛を制すは、幻想」と肩を落とした。今年(29日開催)は、東京、パリ五輪66キロ級金メダルの阿部一二三が、「柔道家として一度は立ってみたい舞台」として、出場する。
パリ五輪では混合団体でフランスに力負けし、銀メダルに終わった。角田や阿部が「本来の柔道」に挑戦することで、「力比べ」と化した昨今の柔道に一石を投じるか。