横綱昇進へ親方衆が口を揃える「機運」ってナンだ? 白星発進の大の里はV逸なら条件付き
ではもし、優勝を逃した場合はどうなるか。優勝決定戦まで進んでの優勝同点か、優勝次点なら可能性は残るものの、100%昇進がかなうわけではない。
「こうした場合、多くの親方衆は『機運が高まれば昇進も』と口を揃えます。その機運というのはつまり……」と、相撲部屋の師匠を務めたこともある角界OBがこう続ける。
「簡単に言えば協会内の空気です。力強い相撲で勝ち続ければ、親方衆も認めるし、マスコミも称賛する。そうすると、協会内に『昇進に支障なし』という空気が生まれてきます。これが機運です。逆に変化や苦し紛れの逆転、引き技で勝つといった取組が多いとイメージは良くない。まず審判部の親方が『昇進させて大丈夫なのか?』と不安になり、マスコミも懐疑的な記事を書くようになる。そうして協会内がネガティブな空気に包まれれば昇進見送りの可能性がある。最終的に昇進は協会の腹ひとつとはいえ、機運を高めるためにも下手な相撲は取らないことです」
大の里は今場所が初土俵から13場所目。所要13場所目の横綱昇進となれば史上最速記録だが、優勝を逃しての昇進は体裁が悪い。親方衆やマスコミ、ファンを納得させつつ、星を稼ぐことができるか。