「6年前から目がぼんやりとしか見えない状態が続いて…」コージー冨田さん1型糖尿病を語る
コージー冨田さん(ものまね芸人/58歳)=1型糖尿病
「せっかく病気になったのだし、コージーにしかできないことがあるはずだから」と、所属事務所の代表から背中を押されたのが病気公表のきっかけです。
秘密にしていたわけではありませんが、営業で仕事を取るのに不利かなとか、“面倒くさい”と思われたら嫌だなと思って、自分からは話しませんでした。でも、見えないなら見えないなりのステージのやり方や普段の生活について話したら、勇気づけられる人もいるんじゃないかと思ったわけです。まぁまぁひどい状態ですからね(笑)。
1型糖尿病は膵臓にあるインスリンを出す細胞が何らかの原因で破壊され、インスリン不足によって高血糖になる病気。不摂生な生活で発症する2型糖尿病とは違って、若い年代から発症するのが特徴です。
自分も病院で「立派な糖尿病です」と言われたのは24~25歳でした。やけに喉が渇くようになったのが受診のきっかけでした。医師からは生活での注意事項をいろいろ言われましたが、喉が渇く以外は何も支障がなかったので生活を改めることはなく、薬も飲んだり飲まなかったり……。
ただビックリしたのは、どんどん痩せていったことでした。本来のエネルギー源であるブドウ糖が尿として出ていっちゃう病気なので、代わりに脂肪をエネルギー源にするため痩せていくのです。
脂肪から作られるエネルギー源がケトン体といって、これが尿に増え始めたらヤバいのですが、27~28歳の自分はそのヤバさに気づいていなかった。それどころか、痩せられてうれしいと思っていました。ピーク時に113キロあった体重が78キロまで落ちた頃、ちょうどテレビにも出始めて、すごく元気でした。
インスリンを打ち始めたのは2007~08年です。ある日、ホットカーペットの上で寝ていたら、知らぬ間に足の指にやけどの水膨れができていたのです。神経障害が起こって足の感覚が麻痺していました。正座しても痛くないし、プールに入っても水に触れた感覚がない。水膨れをつぶしたら、その痕が赤黒く壊死したかのように見えたので、ギョッとして病院に行きました。結果、水膨れをつぶして血が出ているだけだったのですが、血糖値を改めて調べたら「インスリンを打たなければダメだ」ということになり、以来、インスリンを打ち続けています。
毎食後に自分で打っていますが、不慣れな頃は適切なインスリンの量がわからず、何度も低血糖症状に陥りました。「お腹がすいて動けないときのひどいやつ」と言ったらイメージできるかな。
でも、そんな無邪気なものじゃなく、ボーッとなって、手が震えて死ぬんじゃないかと思うくらい怖い状態です。そんな時にはすぐに血糖値を上げる必要があるのですが、アメやチョコレートではすぐには上がらないので、即効性があるブドウ糖タブレットが欠かせません。常に持ち歩いています。
鍋などの野菜が多いメニューは満腹感の割に血糖値が上がらないので、その分を調節してインスリンを打たないといけません。食べたものによって血糖値の上がり方が違うため、慣れるまでは苦労します。
問題は目ですよね。6年前からぼんやりとしか見えない状態が続いています。初めは飛蚊症のひどい感じで、目の内側から墨をビシャッと吹きつけたようになりました。白内障の手術のついでに内側からそれを取り除いてもらったものの、すぐにまた見えづらくなって、ついには緑内障と診断されました。目の周りの神経細胞が傷ついて、目の中にむくみができるせいで見えない状態です。