富士フイルムホールディングス 後藤禎一社長(1)写真事業で培った技術で多角化を推進 5期連続で最高益を更新
2021年3月31日、富士フイルムホールディングスはCEO交代の記者会見を行った。
写真フィルム市場の失速による本業喪失の危機に向き合い、21年間にわたり同社を率いてきたカリスマ、古森重隆会長兼CEOに代わり、後藤禎一(66)の社長兼CEOの就任が発表されたのだ(富士フイルムの社長兼CEOも兼務)。
同日に発表されたのが、日立製作所の画像診断関連事業(CT・MRI・超音波診断装置など)の買収完了だった。医療機器ラインアップ拡充に加え、富士フイルムのAI技術をそこに融合させることで競争力強化を図る。
「これによって、富士フイルムHDはヘルスケアに舵を切ったことをアピールできたと思っています」と、後藤は語る。
富士フイルムといえば、一般消費者から見れば、化粧品や複合機、インスタントカメラ「チェキ」などに馴染みがあるが、同社はむしろBtoB分野に強みを持つコングロマリット企業(多業種間にまたがる巨大企業)である。
事業の内訳は、ヘルスケア(医療機器・化粧品・医薬品関連)、エレクトロニクス(半導体材料・液晶ディスプレー用フィルムなど)、ビジネスイノベーション(複合機・印刷システムなど)、イメージング(カメラ・写真関連)の大きく4分野に分かれる。