トランプ政権が発表「トランスジェンダー医療は薬ではなく心理療法で」に警戒の声
トランプ政権がトランスジェンダーへの医療に関するリポートを発表しました。それに対し医学界からは「科学的に著しく不正確で政治的なリポートは、トランス青少年に対する治療基準の転換に利用される恐れがある」と警戒の声が上がっています。
400ページにおよぶ保健福祉省の報告書は、トランプ大統領が就任直後に発令した「性別は男と女の2つだけ。連邦政府は19歳未満の性別移行を支援してはならない」という大統領令に沿ったものです。中でもトランスジェンダーの若者に対する医療に対しては、二次性徴抑制剤などの薬ではなく心理療法による対応を行うべきとしています。
しかし専門家は、「この報告は、そもそも性別違和やノンバイナリーなどの性自認が存在しないことを前提にしているばかりか、これまでの治療を“性転換”と誤解させるような書き方をしている」と批判しています。さらに「医療者が最初から、性と意識の一致が望ましいという考え方でアプローチすべきという、有害な意識を正当化している」という声も上がっています。
報告書では、トランスジェンダーや性自認に疑問を抱いている若者の「多く」が手術や投薬を受けているとしています。しかし実際には過去5年間に薬物治療(二次性徴抑制剤やホルモン剤)を受けたのは1000人に1人以下。手術を受けたのは1年に1200人にとどまっています。