『「がんもどき」で早死にする人、「本物のがん」で長生きする人』近藤誠著
20年以上「がんは2つにひとつ」と唱えてきた著者。つまり、発生した瞬間から手術しても抗がん剤を用いても必ず転移する「本物のがん」と、転移する能力を持たないので手術の必要がない「がんもどき」があるということだ。
「本物」は幹細胞が生まれてすぐ、0.1ミリ以下のときから血液に乗って全身に転移を始める。人間が早期発見と呼ぶのはがんが1センチ前後に育った晩年のがんであり、メスを入れることでがんが暴れて増大することもあるため、手術は百害あって一利なし。一方、全体の8割が「もどき」である乳がんなどは、放っておいてもよいのに無理な手術が体にダメージを与える。
がんをやみくもに怖がる前に、がんの性質や手術のリスクを学んだ方が良さそうだ。
(幻冬舎 952円)