タタールで一番辛い料理 アリーナ・ブロンスキー著、斉藤正幸訳

公開日: 更新日:

 ソ連崩壊前の1978年。タタール人のロザリンダは夫と17歳の娘スルフィアとの3人暮らし。そんな大きな娘がいるとは思われないほど若々しく、タタール人としての誇りも強かった。対してスルフィアは幼い頃からのろまで、母から厳しくしつけられていた。そのスルフィアが妊娠していることが判明。父親は分からない。慌てたロザリンダは堕ろさせようとするが失敗し、孫娘のアミナートが生まれる。ここから、平穏だったロザリンダ一家は激しい流れの中に放り込まれていく。

 母の束縛から逃れるため、スルフィアはアミナートを連れて家出するが、ロザリンダは孫を取り戻そうと画策。母と娘の攻防が何度か繰り返された揚げ句、ロザリンダは自由を獲得するべくドイツ行きを決意。ドイツへ移った一家には、さらなる困難が……。

 著者はアミナートと同じく、78年にエカテリンブルクに生まれる。自らの家族史を軸に、歴史の変転の中、タタール人女性のたくましく生きる姿を描いた、現代ドイツの注目作。(幻冬舎メディアコンサルティング 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主