「鉄路の果てに」清水潔著

公開日: 更新日:

 亡くなった父の書棚に「シベリアの悪夢」という本があった。父の筆跡で「私の軍隊生活」と書かれたメモが貼ってあり、隅に「だまされた」と書かれている。表紙裏の地図には、日本列島からユーラシア大陸まで赤い線が引かれている。父は戦争体験を語らなかった。2019年1月、著者は友人と、赤い線をたどる旅に出る。

 かつて朝鮮半島を走っていた京義線は中国、ロシアへと続き、欧州とアジアを結ぶ「欧亜の鉄路」だった。日本の鉄道省が作ったキャッチフレーズは「一枚ノ切符デヨーロッパヘ」。だが、「欧亜の鉄路」は、ロシア革命や日中戦争などで何度も遮断される。

 ジャーナリストが父の足跡から戦争をたどる。

(マガジンハウス 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動