「深海問答」川口慎介著
「深海問答」川口慎介著
著者は、日本社会が「なんとなく」海底資源の採掘へ突き進んでいくのを危惧している。海底資源には「元素資源」と「エネルギー資源」があり、価値があるのは「元素資源」である。
経済産業省は「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」で海底鉱物資源として「海底熱水鉱床」「コバルトリッチクラスト」「マンガン団塊」「レアアース泥」を挙げている。コバルトリッチクラストのコバルト含有率はわずか1%にすぎないが、玄武岩の含有率0.004%に比べると格段に高く、元素資源として期待されている。だが、資源開発では環境への影響の評価も必要。人類の産業発展の歴史は公害の歴史でもあるからだ。
「海ゴリラ」として知られる海洋研究者が、海底資源やその開発について解説する。 (エクスナレッジ 2420円)