“辛口”映画プロデューサーも絶賛 品川ヒロシの監督センス
「久しぶりに掛け値なしに面白いモノを見ました。時間を完全にさらわれました」
普段は辛口の映画プロデューサー、奥山和由氏がこう絶賛するのはお笑いコンビ「品川庄司」の品川ヒロシ監督の第3作「サンブンノイチ」。24日まで開催中の沖縄国際映画祭でも大好評だった一本である。
物語は、人生の一発逆転をかけて銀行強盗を成功させたキャバクラの店長(藤原竜也)、ボーイ(田中聖)、常連客(ブラマヨ小杉)の3人が主人公。手にした数億円を3人で山分けするはずだったが、互いの取り分を増やそうとさまざまな思惑が絡み合い……。さらに謎の女や闇の帝王など怪しい面々が登場。騙(だま)し騙されのスリリングな展開が見どころだ。品川は監督、脚本を務めた。奥山氏が言う。
「僕も最初は、楽屋で話すと普通の兄ちゃんだからピンときていませんでした。それが初号試写を見たらメチャクチャ面白かったんです。3人がなぜ銀行強盗をしたのかが時間を逆回しにして解説されていくのですが、その構成の緻密なこと。観客の興奮がどんどんレベルアップしていくような人物の登場のさせ方、暴れさせ方が素晴らしい。脚本はやたら分厚かったけど、現場のプロデューサーが“品川がやるとぜい肉をそぎ落として密度が濃くなる”と話していた通りの仕上がりでした。その時に僕の頭をよぎったのが深作欣二監督。彼は僕と深作監督がコンビを組んだ『いつかギラギラする日』のファンだそうで、脚本は作り手のエネルギーの象徴です。深作さんも分厚い脚本が濃密な映像に凝縮されていました」