著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第5回>降旗監督が「もう一度」といった最初で最後のシーンがある

公開日: 更新日:

 撮影終了後、私は監督に尋ねた。

「なぜ、あのシーンはダメだったのですか」

 こんな答えだった。

「健さんの気が立ち上がってくるのに時間がかかってしまった。映画で大切なのは画面に役者さんの強さが表れること。とくに健さんの映画では強さがないと魅力が出てこない」

 その時、高倉健がやっていたシーンは引っ越しした主人公が段ボール箱を抱えてひとこと言うだけの場面だ。しかし、それでも、監督は「高倉健の気」の強さを要求したのである。

 彼の映画で見るべきものは演技、セリフよりも「気」や「強さ」なのだろう。

▽のじ・つねよし 1957年生まれ。美術展のプロデューサーを経て作家活動へ。「サービスの天才たち」(新潮新書)、「イベリコ豚を買いに」(小学館)など著書多数。最新刊は「アジア古寺巡礼」(静山社)。「高倉健インタヴューズ」(プレジデント社)が話題に。

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