著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第8回>筋肉質の太もも見せるため着物にも工夫

公開日: 更新日:

「日本侠客伝の主人公はもともと中村錦之助さんがやる予定でした。ところが、錦之助さんが役を嫌い、代わりに健さんが受けたのです。すると、錦之助さんは『健ちゃんがやるなら相手役は俺だ』ともう一度、手を挙げた。当時、人気で言えば高倉健ですが、役者の格では錦之助さんが上です。健さんには重圧があったでしょう。『錦之助さんには負けられない、錦之助さんが脇へまわってくれた以上、それに応えなくては男ではない』と思ったはずです。重圧のなかで芝居をし、役者としてここで負けたら辞めるしかないと覚悟を決めたのではないか。そうして、2人の演技には火花が散りました。相手役に応えて、健さんはいい役者になった。この作品以降、健さんの芝居には凄みが出ました」

 本作における高倉健は受け身の芝居ではない。主人公の芝居はこうあるべきというリーダーシップを発揮している。

 また、もうひとつ注目すべきなのは着物の着こなしだ。着物とは本来、身長が低くて、お腹が出ている人の方が似合う。勝新太郎のような体形にぴったりで、高倉健のような背の高い人が着ると、つんつるてんに見えてしまう。しかし、高倉健の着物姿はサマになっている。事情を調べてみたら、巨匠、内田吐夢監督が高倉が若い頃、「高倉健に似合う着物を作れ」と衣装係に命じたのだという。

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