著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第16回>「勝新太郎と同じくらい、寝起きが悪いと言われた」

公開日: 更新日:

 レンブラントが描いたといわれている「黄金の兜の男」。彼はその模写を大切にしていた。

「ドイツのヴィッテンべルクという小さな城下町の旅籠に泊まった時、そこの階段にかかっていた一枚がとても気になって、それを買いたいと言ったんですが、どうしても売ってくれなかった。ただ、どんな絵なのか由来は教えてくれました。それで、僕も1年かけて、模写してもらいました。戦場から戻ってきた老兵の顔に光が当たっているというだけの小さな肖像画ですが、どうしても自分のものにしたくてねえ。今でも家の壁に掛けて、毎日、眺めてます」

 詳しくは「サービスの裏方たち」(新潮文庫)のなかに、高倉健が愛した模写として収録した。本人がどれほど絵が好きなのかはそれを読めばわかる。

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