<第18回>見どころは「ドス」を「銃」に持ちかえたガンアクション
【駅 STATION (1981年・東宝)】
タイトルにある駅は北海道、留萌本線の増毛駅のこと。増毛は終着駅だ。深川から延びてきた線路は同駅で途切れてしまう。増毛にたどり着いた人間、希望を持って増毛から出ていく人間を交錯させた映画である。本作のなかには駅、駅舎、途切れた線路を上手に使ったシーンがいくつも出てくる。
主人公(もちろん高倉健)はメキシコ・オリンピックの射撃競技選手に選ばれた警察官。上司を連続射殺犯に殺され、選手を引退してからも、警察官として犯人を追い続けている。妻(いしだあゆみ)や子どもと別れ、射撃と警察官の任務に励む。だが、いつしか仕事に疑問を抱くようになり、警察官を辞めようとするのだが……。
ストーリーの展開よりも、高倉健が銃を使ったアクションに挑む様子がいちばんの見どころだ。また、共演した女優がいずれも好演で、それぞれ見せ場がある。
いしだあゆみは駅で夫との別れを演ずる。列車が出ていく時、高倉健に向かって敬礼し、微笑しているのだが、涙が頬を伝う。ひとことのセリフもない。