ピース又吉 文芸誌デビュー作は「芥川賞」「直木賞」両睨み
7日発売の文芸誌「文学界」2月号(文芸春秋)にお笑いタレントの名前がドーン。文壇を震撼させている。ちりちりロン毛でおなじみ、芸人コンビ「ピース」の又吉直樹(34)が純文学作品「火花」を執筆し、文芸誌デビューを果たしたのだ。
タレント作家の掲載は異例中の異例。「少し前から社内の文芸編集者の間ではその質の高さが評判になっていた」(版元関係者)という。テレビでは売れっ子の芸人で、通算2000冊以上を読了した“読書芸人”としても知られる。これまでさまざまな媒体で書評やコラム、帯文を手がけ、「読み手のプロ」(雑誌編集者)としては定評がある。
すでに共著の俳句集やエッセー集を刊行、12年には「別冊文芸春秋」で短編小説も発表しているが、今回の最新作は、400字詰め原稿用紙230枚分の中編小説。若手芸人の「僕」が語り手となり、先輩芸人「神谷才蔵」の才気や挫折を描く。
「文学界」の武藤旬編集長が言う。
「小社の女性担当編集者が、4年ほど前に別の雑誌でエッセーを書いていただいた時から又吉さんの才能に注目し、今回の小説執筆につながりました。又吉さんは物事に関する観察眼が鋭く、非常に個性的な文章をお書きになる。知名度のあるタレントだからということではなく、大型新人作家として大きく取り扱いました」