高1で作家を意識 “早熟の天才”羽田圭介氏「芥川賞」への軌跡
「当時、むさぼり読んだのが『あやしい探検隊』シリーズなど椎名誠の作品群。出版社の金で飲み食い、旅行してエッセーを書く生活に憧れたようです」(出版関係者)
作家になることを意識したのは、付属明治高校1年の時。綿矢りさが17歳で文壇デビューした新聞記事に発奮した。図書館で文芸誌のバックナンバーを読み、新人賞受賞作を研究しつくして応募。兄弟間の家庭内ストーキングを描いた「黒冷水」で第40回文藝賞を受賞、作家デビューした。17歳だった。
実際の出来事を描いたようなリアルな筆致を選考委員が絶賛、天才高校生と騒がれた。明治大学商学部2年の時に、文藝賞受賞第1作「不思議の国のペニス」を発表。東京から北海道まで自転車旅行した高校時代の体験をもとにした「走ル」が、初の芥川賞候補作に。第4作「ミート・ザ・ビート」で2回目の芥川賞候補にノミネート。
「気になる言葉をノートに書きつけ、見つけたテーマを取材、膨らませていく。自身の就職活動体験をつめこんだ『ワタクシハ』の際はノート13冊という膨大な量になったそうだ」(文芸評論家)