「道にカネ落ちてないか探して」 芥川賞・又吉直樹の貧乏時代
「これからテレビ局への移動は、タクシーではなく、ハイヤーの送迎になるでしょう」
そんな声も聞こえてくる、芥川賞受賞の又吉直樹(35)。これから境遇が一変する。しばらくは受賞の“ご祝儀出演”が続く。出演ギャラもハネ上がり、「ゴールデンで1時間150万~200万円の爆笑問題、くりぃむしちゅークラスになるのではないか」(業界関係者)という。
また、受賞作「火花」のドラマ化権、映画化権が数千万円なんていう景気のいい話まで出ているから、本人も所属の吉本興業もウハウハだ。
しかし、又吉は11年2月、日刊ゲンダイの「貧乏物語」で売れるまでの日々をこう振り返っている。吉本興業の「総合芸能学院(NSC)」東京校時代を、「ホンマにつらくて、鬱屈した日々でした」として続けた。
「18歳の春に上京してきたんですが、まず当たり前のようにカネがなかったですね。仕送りもほとんどなくてバイトしなきゃならないのに、当時は社会に適応できる能力がなくて面接にも通らない。実家が農家の同期がいて、コメだけはなんとかなったんですけど、おかずはあっても缶詰のシーチキン程度。当時住んでいた三鷹から赤坂にあったNSCまでの電車賃を交番で借りたり、道にカネが落ちてないか探して歩き回って、100円拾ったりしてました」