「今年は例年より難航」…選考委員に聞いた“流行語大賞の裏側”
「私以外の選考委員は7、8年に1回くらいのペースで変わっていて、今の7人で選考するのは4年目。全員同時に集まるのは毎年1回だけですが、その時に時代認識をぶつけ合って、候補語についての見解を概ね共有します。あとは、電話やメールで細かい連絡を取って調整する。大賞については授賞式の直前までなかなか決まりにくいのが常ですが、今年は例年よりも難航していますね」
今年の候補語が発表された直後から「政治的な言葉が多すぎる」などとネット上で騒ぐ声もあった。
「ほかの分野の言葉が弱いから仕方がない部分もありますし、安保法案という大きなテーマをめぐって実際にたくさんの言葉が飛び交った1年でしたからね。『抵抗勢力』という言葉しかトップテン入りできなかった小泉政権時代と違い、今年は抵抗する側からも『SEALDs』が出てきて、『とりま、廃案』など新しい言葉が次々に出てきた。それが候補語にも反映されていると思います」
清水編集長は最後に、流行語大賞の意義についてこう語った。
「89年に『セクシャル・ハラスメント』が受賞した当時、まったく新しい外来語でしたが、あの言葉があったからセクハラやハラスメントという概念が日本に根付きました。昨年は『マタハラ』がトップテン入りし、今年は『モラハラ』『オワハラ』が候補語に入っています。言葉があるから、概念が認知されるんですね。流行語って“共感”の塊なんです。みんなの気持ちが今年はどこで一致しているのか、1年中そこを観察しています」
今年の流行語からも、新たな概念が定着するのだろうか。