警察不祥事「稲葉事件」 映画化は白石監督からの“挑戦状”

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「(警察の組織的・計画的犯罪という)テレビではまず放映できないネタ。今の日本映画ではなかなかできないことをやった自負はあります。はたしてそれがどう受け入れられるか、公開を前に高揚感を感じています」

 日本警察史上最大の不祥事といわれる「稲葉事件」を映画化した「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督が、興奮気味にそう語った。

「表現の自由が憲法で認められているはずなのに、最近の日本はどうも社会全体が自主規制ばかりするムードになってきている。ならば映画人として、このインモラルな題材をあえてやってやろう、と思ったんです」

 日本アカデミー賞で絶賛された前監督作「凶悪」(13年)と同じく、実在の事件を基にした社会派ドラマ

 舞台は金丸信自民党副総裁銃撃事件以来、日本中が銃器犯罪に神経質になっていた90年代。違法拳銃の押収にやっきになる北海道警察と主人公の刑事は、やがて裏社会と結託してヤラセ捜査で押収実績を稼ぐようになっていく。

「主人公の悪徳警官役のモデルで原作手記を書いた稲葉圭昭さんにも会いました。修羅場をくぐってきた男らしい迫力はもちろんありましたが、一方で穏やかでどこか人間的な魅力がある。そのとき、悪事を働いていた当時も、複数の彼女がいた理由が腑に落ちた気がしたんです。色っぽさとマメさ、その印象が、最終的に綾野剛くんのキャスティングにもつながった」

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