巻き網漁の乱獲危惧 松方弘樹さん「マグロ守って」の遺言
俳優の松方弘樹さんが脳リンパ腫で亡くなった。無類の釣り好きで知られた松方さんが生前、訴えていたのがマグロの危機。マグロを群れごと捕獲する乱獲漁法「巻き網漁」が“野放し”となっている状況に怒りをあらわにしていた。
「おおっ」。2009年11月22日、山口県萩市の離島・見島の宇津港。松方さんが釣り上げたマグロが計量器にかけられると、見守る漁師からどよめきが起きた。目盛りは「325キロ」。すぐに東京・築地市場に空輸されたマグロは約437万円で競り落とされ、テレビやスポーツ紙で話題になった。当時から、マグロの一本釣りで“プロ級”の腕前と評されていた松方さんが常々、口にしていたのが、マグロの「巻き網漁」の規制強化だった。
「巻き網漁は数百メートル以上の網を広げ、魚を一網打尽にする漁法です。最新鋭の魚群探知機を使った巻き網船が、夏場に産卵で海面近くに上がってくるマグロを待ち構えて群れごと捕まえるのです」(東京海洋大学の勝川俊雄教授)
こうした状況に対し、松方さんはこう語っていた。