役者の長い道のり象徴 寺島しのぶ愛息“初お目見得”の花道
毎年5月の歌舞伎座は「團菊祭」。今年は盛りだくさんだ。芸能ニュース的には、寺島しのぶの4歳の息子・寺嶋眞秀の「初お目見得」が話題。尾上菊五郎・富司純子の孫にあたる。
眞秀は、昼の部「魚屋宗五郎」にセリフのある「丁稚」の役で登場し、花道をひとりで歩いて往復した。この花道が長い。普段はあまり感じないが、子供なので、時間がかかるのだ。常套句を用いれば「彼の役者としてのこれからの長い道のりを象徴していた」となる。
もうひとつの話題は、坂東彦三郎家の三代・4人同時襲名。「坂東彦三郎」は一般的な知名度は低いが、大名跡のひとつで、尾上菊五郎家と市村羽左衛門家と親戚関係にある。ここ数代は、脇役の名優が続いた。
坂東家の八代目彦三郎(74)が初代楽善を名乗り、長男・亀三郎(40)が九代目彦三郎を、次男・亀寿(38)が三代目亀蔵を襲名、さらに彦三郎の4歳の長男が六代目亀三郎を襲名し「初舞台」。親が脇役だと子も脇役としてのスタートとなってしまう。彦三郎・亀蔵の兄弟は顔もよければ声もよく通る役者だったが、これまで歌舞伎座では脇役ばかりだった。しかし今月は襲名なので、彦三郎は昼の「梶原平三誉石切」と夜の「寿曽我対面」で主役を演じた。弟の亀蔵はこの2つでは脇役で兄をもり立て、最後の舞踊「弥生の花浅草祭」では、松緑と2人で4役を踊り通した。