1人飯のプロ ドラマ「孤独のグルメ」井之頭五郎の説得力
開始から5年。シリーズも6を数えるまでになった深夜の人気番組「孤独のグルメ Season6」(テレビ東京系)。しかし主人公の井之頭五郎(松重豊)が、出かけた先の町で早々に仕事を済ませ、食べもの屋に入るという、いつものパターンは変わらない。
今期も新宿の淀橋市場で豚バラ生姜焼き定食、世田谷区太子堂で回転寿司など、どれもうまそうに食べている。しかも、このドラマの名物である五郎のモノローグというか、心の中の声がよりパワーアップしているのだ。
先日の舞台は渋谷道玄坂の「長崎飯店」だった。皿うどんに入っていた、たくさんのイカやアサリに「皿の中の有明海は豊漁だあ」と感激。また春巻きのパリパリ食感を、「口の中でスプリングトルネードが巻き起こる」と熱い実況中継をしていた。さらに追加注文の特上ちゃんぽんに長崎ソースをドバドバかけて食し、「胃ぶくろの中が『長崎くんち』だ。麺が蛇踊りし、特上の具材が舞い、スープが盛り上げる。最高のちゃんぽん祭りだ!」と大絶賛である。
もしもこれを情報番組で、若手の食リポーターが語っていたら噴飯ものだろう。「オーバーなこと言ってんじゃないよ!」と笑われてしまう。
だが、我らが五郎の言葉には“一人飯のプロ”としての説得力がある。食への好奇心、感謝の気持ち、そして遊び心の3つが、今まで以上に“増量”されているからだ。