公取委はついにメス 芸能界「奴隷契約」それぞれの言い分
■事務所のサポートがあったからこそ?
それは芸能界の仕事に明文化しにくい部分があるからかもしれない。ある芸能プロ幹部が言う。
「大物演歌歌手が独立した際、長く所属した大手芸能プロとモメたことがある。歌手にしてみれば、長く所属し、もう十分、事務所も儲けさせたのだから奴隷状態を解放しても文句はないだろうというのだが、事務所の言い分は違う。例えば地方興行や営業で、興行主と仕事をするなかで、何かあると事務所に呼び出し、社長が灰皿を投げつけたりしてやり合ってきた歴史がある。そうした事務所の庇護や威光があったからこそ、歌手は安全に仕事ができ、大物と呼ばれるほど長くやることができているわけだ。そうした裏の部分のサポートを差し置いて、ある日サヨナラでは通らない」
売れっ子にするまでのボイストレーニング代や衣食住のサポートもあり、「五分五分では割り切れない」という事務所関係者は少なくない。西山茉希の騒動でも、事務所社長は運転手付きの送迎や高級家具購入まで手厚くサポートしてきたと言い、「奴隷というならこっちだ」と訴えていた。
とはいえ、一方のタレント側からも「何年もノーギャラでこき使われた上、高級マンションの家賃も社長が未払いで、肩代わりさせられた」といった証言がゾロゾロ。しかし、もう時代はやくざや興行師が蠢いていた昭和ではない。芸能界もこの機会に進んでウミを出し、徹底的に明るみにすべきだ。