浅香光代<上>さらしに裾を切ったブルマー…裸同然で舞台に
今年、90歳になった浅香光代さんが役者の世界に入ったのは9歳のときだった。つまり80年以上、舞台に立ち続けていることになる。
浅香光代――本名・北岡昭子。1928年に神田で生まれた。9歳で浅香新八郎の主宰する一座に入り、小森昭子と名乗っている。1944年に彼が37歳で亡くなった後、〈浅香〉の名前を使うという話が持ち上がったという。
「内弟子に入ったときから、お弟子さんじゃなくて、よく“娘さんですか”って言われた。他の弟子と同じ衣装を着て出てきてもそうだった。先生が倒れちゃったでしょ。でも座員はそっくりそのままいる。みんなが“先生はこの子のことを可愛がっていたから、浅香新八郎の子どもって通るから、そうしましょう”って。じゃないと興行が出来ないからね。興行主も“そうだ、娘にしましょう”と。娘が継いだことならば興行できるじゃない」
浅香新八郎の知名度を利用するため、10代だった彼女が担ぎ上げられたのだ。
「その日から“お嬢”になったよ。そして“座長、座長”って言われた」