「桜田門外ノ変」どこか喜劇じみた大老・伊井直弼の最期

公開日: 更新日:

 彼らが井伊を狙った背景には藩主・徳川斉昭が永蟄居(えいちっきょ)を命じられ、家老・安島帯刀らの命を奪われたことへの憤まんがあった。そこで自分たちの意に沿うよう幕府を変革するため決起。だが皮肉にも井伊を殺したことで徳川幕府の権威は失墜、滅亡という結果を迎えた。善かれと思ってやったことが裏目に出てしまった。

 一方、井伊は暗殺計画を知りながら屋敷を出た。劇中で描かれている通り、警護の侍は刀を柄袋で覆い紐で縛ったため即座に抜刀できなかった。危機意識の欠如によって殺され、幕府の滅亡を招いたと考えれば、井伊の決断は軽薄だったともいえる。しかも井伊は膝から腰まで貫通する銃弾を浴びて立ち上がることができなかった。免許皆伝の居合の技も使えずあっさり首を取られたとは、どこか喜劇じみた話である。

(森田健司/日刊ゲンダイ)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方