著者のコラム一覧
クロキタダユキ

道(1954年、イタリア)

公開日: 更新日:

 粗野で暴力的な男ザンパノは、貧乏な子だくさん一家からタダ同然で買い取った若い女性ジェルソミーナを助手に旅芸の日々を送る。彼女は、頭が弱く、大道芸での2人のやりとりは、ほほ笑ましくもあるが、どこかもの悲しさを感じる。

 それでも彼女の心はどこまでも純粋で、ザンパノとの旅芸の日々に嫌気が差す。そんな道中で出会った綱渡り師は、自分はダメな人間だと思っている彼女を諭す。「どんなものでも何かの役に立ってる。この石ころだって」と。

 その言葉に心を動かされたザンパノは彼女にセックスを強要。まるで野獣のような男を哀れむようになり、求婚を迫ったような彼女のセリフだ。

 女癖も酒癖も悪い男はそれを聞き流し、過失で綱渡り師を撲殺してしまう。それ以来、彼女は放心状態に……。

「ゴッドファーザー」のテーマ曲で有名な作曲家ニーノ・ロータのメロディーはもの悲しくも美しい。白黒の映像は、夢を見てるかのような幻想的な効果をもたらし、まるで小川のせせらぎのような感動を呼ぶ。そこに描かれているのは、命の尊さだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動