著者のコラム一覧
クロキタダユキ

戦慄の絆(1988年、カナダ)

公開日: 更新日:

 産婦人科医のエリオットとビヴァリーは、一卵性双生児で、幼いころから女性の体に興味がある。そこに奇妙な子宮を持った女優クレアが受診。それまで人生のすべてを共有してきた、兄弟のバランスは崩れ、思わぬ悲劇が動き出す。

 モダンホラーの鬼才デビッド・クローネンバーグは、双子の医師が折り重なって死亡した変死事件をベースに、誰しもが抱える孤独と疎外感に鋭くメスを入れる。

 細部まで丁寧な描写で、ゴシック調アートを見るかのような錯覚に。優美なメロディーが重なって、異様な快楽が見る者をどっぷりと禁断の世界に落とし込む。真っ赤な血のような手術着やペニスのような手術器具、医療用ゴムバンドを用いたSMまがいのセックスシーン……。深層心理に潜む危険な欲望が刺激される。

 1人2役で兄弟を演じたのは、英国俳優ジェレミー・アイアンズ。“人の心のもろさ”を見事に演じ切った彼は高評価を得て、本作の2年後オスカーに輝く。その受賞スピーチで、監督への謝意を述べたほどで、その後の演技に大きな影響を与えている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」