著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

TBS「凪のお暇」原作超えたドラマ独自のきめ細かい世界観

公開日: 更新日:

 最近は漫画を原作にしたドラマが多い。今期もまた複数が並ぶが、その中で黒木華主演「凪のお暇」(TBS系)が出色の出来となっている。

 主人公の大島凪(黒木)は28歳の無職。彼女が会社を辞めたのには理由がある。ひとつは周囲に自分を合わせる、つまり「空気を読む」ことに疲れたのだ。会社の同僚、上司、さらに同じ会社の営業マンでカレシの我聞慎二(高橋一生)に対しても、ひたすら空気を読みながら接してきた。

 次に、我聞が凪のことをカラダだけの関係とか、ケチくさい女だとか、会社の後輩たちに笑いながら話しているのを立ち聞きしてしまったことだ。結局、凪は会社を辞め、我聞との連絡も絶つ。

 郊外のアパートに引っ越した凪には、仕事も恋人も貯金もないが、自由と時間だけはある。それに環境が変われば新たな出会いもあって、隣の部屋に住むゴン(中村倫也)という男と急接近。やや正体不明だが、我聞のように凪の内面に土足で踏み込んだりしない。一緒にいると心が軽くなるのだ。とはいえ、我聞の凪に対する「本音」も明らかになってきて、この奇妙な三角関係の行方が大いに気になる。

 黒木は、自意識過剰で自己抑圧的という、自分でもメンドーだなと感じる「28歳、無職」の女性心理を、きめ細かく表現して秀逸。そこには原作漫画を超えた、ドラマ独自の世界観がある。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「アッコにおまかせ!」存続危機 都知事選ミスリードで大炎上…和田アキ子には“75歳の壁”が

  2. 2

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  3. 3

    石丸伸二氏に若者支持も「上司にしたくない?」…妻や同級生の応援目立った安野貴博氏との違い

  4. 4

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 5

    日テレ都知事選中継が大炎上! 古市憲寿氏が石丸伸二氏とのやり取り酷評されSNSでヤリ玉に

  1. 6

    松本人志の“不気味な沈黙”…告発女性が「被害受けた認識ない」有利な報道に浮かれないワケ

  2. 7

    石丸伸二氏は都知事選2位と大健闘も…投票締め切り後メディアに見せた“ブチギレ本性”の一端

  3. 8

    東山紀之はタレント復帰どころじゃない…「サンデーLIVE‼」9月終了でテレビ界に居場所なし

  4. 9

    安藤美姫が“不適切キャラ”発揮ならメディアは大歓迎? 「16歳教え子とデート報道」で気になる今後

  5. 10

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる