力を抜いているように見せる所ジョージの「本気の準備」
たとえば、テレビでの彼の一人称は「ワタシ」だ。
「世間話してるときは『オレ』って言うときもたくさんあるんだけど、カメラに向かって『オレはね』とか言えないよ。何、そんなえばってんのおまえ? って思うじゃん。丁寧じゃないじゃん。茶の間でたぶん子どもも見てるし、子どもに対して『オレは』でいいけど、目上の人も見てるから『ワタシは』が一番いいわけじゃん」
冒頭の番組で真剣に語った上で「と、俺は思うんだよ」と、所は照れ笑いを浮かべる。
また、所は特番や新番組であろうと、カンペを見ないという。番組を進行する上で、カンペを使うことは今や常識だが、所はそうしない。台本は全て頭に入れておく。カンペを見ることで「茶の間にこうカメラに目線が外れるのが、もう、ちょっと失礼かなと思ってる」(日本テレビ「ナカイの窓」2014年10月8日)からだ。
もちろん、ゲストの情報も頭に入っている。番組が始まる前にはしっかりとシミュレーションをしその通りにこなしていくのだ。力を抜いているように見えて、全くそうではない。本気だと見せないことこそが所ジョージの「凄み」なのだろう。冒頭の番組で、所はこう語って笑った。
「俺が本気出したら、こうだぜっていうので、ずっと本気出さないで、語っていたいよ。本気出したらこうだよ、いつか見てろよって言いながら、年とる。そんな人生を望む」
それは、所ジョージが、いつだって本気だからこそ出てくる言葉だろう。