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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

迷いながら芸風が完成 ぺこぱ松陰寺「一番遠回りな近道」

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 松陰寺は模索を続け、ド派手な着物を着てローラーシューズを履くキャラに定着。そのキャラのまま、シュウペイのボケにツッコんでいたが、冷静に考えれば、おかしいのは自分だと思った。

「お客さんの中にある『こう来るだろう』っていうのをさらに裏切りたいと思って、『いやおかしいだろ……って言ってる俺はなんなんだ!』みたいに言ってみた」(とうこう・あい「QJWeb」20年2月5日)

 すると、今まで感じたことのないウケ方をしたのだ。つまり、その言葉こそ「体重の乗った」言葉だったのだ。

 このスタイルで昨年、年明けの「ぐるナイ!おもしろ荘」(日本テレビ)で優勝。いよいよブレークかと思われたが、テレビで引っ張りだこになったのは「パンケーキ食べたい」の夢屋まさるだった。この番組の収録の合間に、松陰寺は岡村隆史に「着物、変やで」と言われた。同じ頃、TAIGAに「スーツにした方がいい」とのアドバイスも受け、いよいよ現在の形が完成した。

 松陰寺は「結局、あの漫才も漫才をフリにした漫才なんで。全然優しさ先行じゃない」(テレビ朝日「太田伯山~悩みに答えない毒舌相談室~」20年3月11日)と明かし、過剰に「優しい」キャラを求められる現状への悩みを吐露。「ベールを脱ぐのが早すぎないか」と言われると、「ベールが重すぎるんです」と答えた。一方で「良かったのは、今やってる『松陰寺太勇』と『本物の私』がちょっと重なってる部分があった」(同前)とも言う。

「僕らは『一番遠回りな近道』を歩んできた」(とうこう・あい「QJWeb」20年2月6日)と言うように、ぺこぱは迷いながら「本物の自分」に少しずつ近づいてきたのだ。

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