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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

幾多の達人を越えていく 森川葵の類いまれな自己暗示力

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 穴と剣の直径の差が1ミリしかない非常に難しい、このけん玉を、なんと森川は一発で成功させてしまったのだ。

 その後も「ロックバランシング」「クレーンゲーム」「ゴム銃」「ダイススタッキング」「テーブルクロス引き」など、達人たちが長い時間をかけて習得した技術を、森川はいとも簡単に成功させてしまう。時には日本トップレベルの記録もたたき出す。

 バラエティー番組の挑戦企画は普通、タレントが苦労している様子を撮りたいものだ。それがほとんど撮れない。いつしか“バラエティーの法定速度”を無視した「ワイルドスピード森川」という異名がついた。

 彼女は「人はできるんだ、これはできるものなんだ。だからきっと(私も)できるだろうな」と自己暗示をかければできるのだという。並外れたセンスだけでなく、自己暗示力と一瞬の集中力が物凄い。冒頭の「5ミリ穴通し」も達人よりも早い191投目で成功させてしまった。

「役に合わせて見た目を変えると性格も変わるタイプ」(ネットネイティブ「モデルプレス」16年6月17日)

 そう自身でも語るように女優としての彼女は、しばしば「憑依型」などと言われる。「夢と思ったら夢のままで終わってしまうから、現実にしようと強い意思を持つこと」(同前)が大事と語る彼女の類いまれな自己暗示力と意志の力は、彼女をトップ女優へと導いていくに違いない。

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