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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

赤塚不二夫編<3>愛猫・菊千代死去 人間と同じ葬儀で見送り

公開日: 更新日:

 漫画家・赤塚不二夫(享年72)家の飼い猫・菊千代が出演した富士フイルムのCM。

 腹ばいになって4本の足で伸びをすることから「バンザイ猫」と呼ばれた。菊千代が主役のCMに赤塚氏も脇役として共演。タキシード姿の赤塚氏と白と黒の毛並みの菊千代が寝転んでバンザイするCMだった。

 菊千代にもギャラが出た。先生は近くの銀行に「赤塚菊千代」の名で口座を開設。銀行員の間では「赤塚さんに芸者の愛人ができたのでは」と思われていたそうだが、菊千代は自分の口座を持つ猫になった。ちなみに、ウン十万円のギャラはいつの間にか赤塚家の酒代になっていた。

 収入を得た菊千代は赤塚家の有名人になり、来客者は必ず菊千代の頭をなでるようになったが、決して最適な生活環境ではなかった。昼夜問わずお客の出入りの多い家。仕事関係者は1階の「フジオ・プロ」だが、菊千代の居住空間の2階の居間は毎晩、飲んで騒ぐ宴会場。

 そんな環境でも菊千代はマイペースだった。酒盛りを見ていることもあれば、奥の小さな専用ベッドで寝ていることも。それでも人のチェックは怠らず、好き嫌いがあった。私は好かれていたほうだが、赤塚氏いわく「所(ジョージ)は嫌われた。所がお土産と言って持ってくる高級ペットフードはまったく食べなかった」。

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