必需品の張り扇は手作り 大切に使っても2カ月でダメになる
今回は目先を変えて、講談と落語の高座スタイルの素朴な違いを解説していただこう。落語で用意されるのは座布団一枚だが、講談では釈台と呼ばれる台と張り扇が必需品。講談の七五調の名調子はこの2つがなければ生まれないものだ。
「講談はもともと講釈師が物語を読んで聞いてもらいました。その時にリズムを取りながら話すために張り扇を使った。釈台と張り扇はその名残で、張り扇はリズムを取る、リズム楽器のようなものです。張り扇で釈台を調子よくポンポン打つ音を聞くと、お客さんはなんだ、どうなると次を聞きたくてつい身を乗り出すわけです」
張り扇の打ち方にルールはあるのだろうか。
「ルールというか、どう打つかは決まっていません。その人その人で打ち方は異なります。ただバナナの叩き売りがやるみたいに、力任せにやるもんじゃない。昔の速記本を見るとパンパンではなく、ポンポンって書いています。私はポンポンという感じで打ちます。面白くみせようとして派手に打つ人もいますが、私は好きじゃないです」
張り扇でいい音を出したい。そのために質のいい張り扇を手にしたいが……。