動画生配信「ライバー」気になる稼ぎ 市場は4年後に7倍へ
昨年あたりからYouTubeに参入する芸能人が増えているが、コロナ禍で急増したのが動画を生配信する「ライバー」だ。140億円だった2020年のオンラインライブ市場が、24年には7倍近い984億円に達するという予測もある(CyberZ、OEN、デジタルインファクトの共同実施調査)。ライブ配信サービスにはYouTube Live、LINE LIVE、SHOWROOM、ミクチャなどさまざまあるが、同時に「ライバー」をサポートする会社も増えている。大手芸能事務所ケイダッシュでマネジャーや広報業務を担った川岸一超氏(37)もそのひとり。今年1月、インフルエンサーエージェンシー「ENPASS」(エンパス)を立ち上げ、約200人のライバーをサポートしている。
「無線通信システム『5G』の本格普及がいよいよ迫り、ライバー業界からスターを出したいと考えました。5Gは高速大容量を低遅延で配信できるためライブ配信市場は伸びていくと確信しています。視聴者の“投げ銭”で成り立つ収益システムが多いのが現状ですが、いずれライバーがインフルエンサーとして商品の魅力を訴え、企業が収益の一部をライバーに還元するビジネスモデルが当然になるでしょう。俳優や歌手など目指す夢を持ったライバーを応援していきます」(川岸一超氏)
黎明期のライバー市場は伸びしろがある
同社に所属するKO―KINGX(コーキングエックス・24)は“教育系ライバー”の肩書で連日ライブ配信している。熊本大大学院教育学研究科に通う現役大学院生で、小学校教諭1種の免許を持っている。将来、不登校児を対象にした「オンライン小学校」を開きたいとライブ配信市場に身を投じた。ファンは2400人を超え、月に大卒初任給並みの報酬を得ることもあるという。
「現在、小中学生合わせて16万人の不登校児がいると文科省が公表しています。不登校児は増え続けているのに、セーフティーネットになるといわれているフリースクールはその数が足らず、経済的な問題で通えない子供も多い。オンライン小学校では『ケーキの切り方』や『人口密度の割り出し方』といった対面授業で教えにくい課題を、分かりやすい教材を使って伝えたい。さらにライブ配信だと、子供の質問に合わせて丁寧に説明し直すこともできるでしょう。不登校児にとっても我々にとっても、たくさん可能性を秘めていると思っています」(KO―KINGX)
前出の川岸一超氏によると、「志を持って毎日配信を続けられる人がライバーに向いていると思います」とのこと。YouTube市場は“プロ”の急増で一般人の新規参入が難しくなってきたが、黎明期にあるライバー市場はまだ伸びしろがある。今参入すればHIKAKIN(31)のようになれるかもしれない。