時代のトップを走っている人のおいしいところを摘み取る
筒美京平先生とは忘れられないエピソードばかりです。C-C-Bの「Romanticが止まらない」のレコーディングの時のことです。スタジオで音を聴いている京平先生がけげんそうな顔をしているので、あれ? と思っていたら、ちょうど音源テープが止まってスタジオ内がシーンとなった瞬間でした。
「これは大村君に頼む仕事だったね」
大村雅朗くんは松田聖子のアレンジャーです。先生は何げなくディレクターに呟いただけだと思うんだけど、僕にもはっきり聞こえて、冷や汗が流れましたよ。
ある時、大流行していた全米ヒット曲の感じでアレンジしたら「フッ」と笑いながら「これって、あれでしょう?」と、パクったでしょ、みたいに言われたりね。
プライベートでもよく怒られましたね。僕が私生活で問題を抱えていると、狸穴の「キャンティ」に呼び出されて、「あなた一体何をやってるの! 話を全部聞かせなさい」ってね(笑い)。だから、京平先生は僕のプライベートをよくご存じでしたよ。先生にしては珍しく密な師弟関係だったのかもしれませんね。