「ガチンコ!」でコワモテ講師 大和龍門さん意外なその後

公開日: 更新日:

大和龍門さん(64歳)

 今から20年ほど前、一世を風靡したバラエティー番組「ガチンコ!」(TBS系)。ファイトクラブ、漫才道、ラーメン道とともに大いに注目を集めたのが「大検ハイスクール」と「BE―BOP予備校」だった。講師は丸刈りの大和龍門さん。「ホームラン級のバカだな」「『いただきます』が言えなかったからよ、メシ食うな!」など“名言”が話題となったものだ。さて、今どうしているのか?

「取材? じゃあタオルを一本持って、運動できる格好で来てもらえますか。まずは体験して下さい」

 大和さんに取材を申し込むとこんな答えが返ってきた。向かったのは東京都狛江市。小田急線の狛江駅そばの泉の森会館だった。

「今は『ガッツネス』という、古武道を基礎にした武術体操をさらに超越させた発散ムーブメントを主宰しています。簡単に説明すると、タオルの張りや遠心力を活用してタオル一本で楽しめる全身運動なんです。かつて居合道の道場を持ち日本刀を振り抜いていましたが、銃刀法違反の嫌疑をかけられることもないタオルに持ち替えたってわけ」

 集まったのは記者のほか、60代の男女、40代女性の3人だ。

「始めたのは2018年2月からなんですが、今は新型コロナの影響で、第1火曜に第2・第4木曜の月3回。人数制限し、参加できる人が来るって感じで、出欠も取らないし勧誘もしません。1回2000円です」

 先鋒、好転、風神と名付けられたメニューは全部で9種類。合間に2種類のインターバルが入って計1時間だ。

「まずは準備運動代わりに、膝を高く上げてスキップしながら前へ進んで下さい。そして向きを変えないままバックステップで戻る……」

 BGMは和太鼓。勝鬨からはロックミュージックに変わり、休憩を挟みどんどん進む。

「エクササイズではないので、形なんか気にしなくていい。ライブコンサートに行った時のように頭をガンガン振ってハッちゃけて下さい」

 記者は日頃の運動不足から次第に足がもつれ、しまいには息も絶え絶え。15分足らずで汗まみれになり、完全に置いてきぼりに……。

「いーのいーの。自分のペースでやれば、それで十分ですよ」と大和さん。なんとか最後までついていったが、太ももはパンパン、全身筋肉痛。だが達成感があり、気分爽快。「心も体もジャブジャブ洗う」というコンセプトを実感した。

「道場は経営に限界を感じたので閉めてしまい、考案したのが『ガッツネス』。ココは通称『発散クラス』で、赤坂でやっていたライブイベントは新型コロナで自粛中です」

「ルールはあったが台本はなかった」

 生活費はどうしてる?

「他道場の顧問契約や週に3回、都内にある食品加工場からレストラン向けの食材を2トントラックで運ぶアルバイトをしてます。早朝5時にほぼ満載でスタートして、有明、日本橋、銀座のお得意先を回り、10時に帰庫。1ケースが10キロあって、宅配業者から『ウチの若手より早い』って言われるくらい頑張ってますよ。アハハハ」

 他の日は「ガッツネス」の営業や啓蒙活動。ところで家族は?

「私は50歳で結婚しまして、元道場スタッフだった嫁は17歳年下。中2、小6の娘がいます。ただ、ガッツネスを始めた当初は数千万円の借金があり、高知県の嫁の実家に私の母と一緒に転居したため、今は一人暮らしです」

 生まれは鹿児島。父親は名の知られた剣道と居合道の達人で、3歳の時に真剣で稽古をつけられて育った。「大検ハイスクール」「BE―BOP予備校」では不良相手に大立ち回りしたが、まさに地だった。

「ほかのコーナーは知らないけど、ルールはありましたが私には台本なんてありゃしない。好きにやらせてもらいました。20年前だから可能だった企画で、今じゃ無理でしょうね。アハハハ」

 夢は、「ガッツネス」で売り上げ1兆円を達成すること。

「何をバカな! と笑われるのは承知の上。でも『ガッツネス』が世界中に拡散して1本1000円のオリジナルタオルを10億本売ったら1兆円じゃないですか。やっぱり、風呂敷はどデカく広げないとね。できるとかできないとかじゃなく、追いかけることが大切。人間、突き抜けるとバカ力が出るものです」

「ガッツネス」が軌道に乗れば家族を呼び寄せる。その日を願い、大和さんは前を向く。

(取材・文=高鍬真之)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド